クラシック音楽レビュー

クン=ウー・パイクのグラナドス 組曲「ゴイェスカス」

ゴイェスカス装丁

久しぶりに丁寧な作りのCDを見つけました。棚にどういれるかは悩ましいものの、大事に作られたものは大事に扱いたい。

韓国の名ピアニスト クン=ウー・パイクの演奏するグラナドスの「ゴイェスカス」がそれです。詩集サイズの装丁、解説も見開きでページ数多くパイクさんの撮影した写真のポストカードもついている。1960年代のレコード並のしつらえ。

ゴイェスカス CDレーベル
またレーベル面も素晴らしい。最近は音質面に配慮されたグリーンレーベルが多い。音にはいいのでしょうが、なんとも味気ないし折角所有したもののそれぞれの特徴が貧しい。

そんな中でこのパイクのCDは、今まで所有したCDの中でも一番心惹かれずにはいられないレーベル印刷。見開きに挟み込まれる形で封入されています。価格は4,000弱と少しお高いのも、どこか納得してしまうほどの丁寧な仕事。生産限定盤というのも、今のご時世仕方がない。

世界的にどれくらい評価されているのでしょう?天下のグラモフォンレーベルからこんな装丁のCDが出せるのだから評価は高いはず。でも日本では恐らくかなりの通にしか知られていない。韓国の強力なスポンサーでもついておられるのでしょうか。そこはすごく不思議。

グラナドス 組曲「ゴイェスカス」
1) 第1曲:愛の言葉
2) 第2曲:窓辺の語らい
3) 第3曲:燈し火のファンダンゴ
4) 第4曲:嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす
5) 第5曲:愛と死:バラード
6) 第6曲:終曲:幽霊のセレナード
7) 第7曲:わら人形:ゴヤ風のセレナード
ピアノ:クン=ウー・パイク
録音 2022年3月6-11日
韓国、トンヨン国際コンサートホール
AMAZONでは取り扱いがないようで。
タワーレコードなら在庫がまだあるようです。→ タワー クン=ウー・パイク ゴイェスカス

CDの演奏も素晴らしい。クン=ウー・パイクは、繊細かつ力強いタッチで、アルベニスの音楽の情熱と深みを描き出しています。私はあまりアルベニスを聴きませんが、ラローチャの温かい演奏とも違う血の通った人間味のある音。

単なるテクニックの披露ではなく、音楽の背景にある文化や感情を深く伝えてくれます。ピアノタッチは、繊細でありながら力強さもある。アルベニスの音楽に特徴的な情熱的な旋律を、繊細なタッチで歌い上げ、一方で力強いパッセージでは、聴く者を圧倒するような演奏を聴かせてくれます。

パイクのピアノの音色も美しく、アルベニスの音楽が持つ華やかさを最大限に引き出す。録音もその良さを十二分に捉えている。各楽曲の持つドラマを効果的に表現し、聴く人の心に直接語りかけてくるような、情感豊かな演奏です。なによりアルベニスの音楽が持つ、情熱的で郷愁を誘うメロディーを深く堪能させてくれます。

パイクの演奏は、テクニック云々は気にならなくなるほど、昨今のピアニストとは違うピアノ音楽の表現力の広がりを教えてくれます。うまく言えないですが、聴く人の心を揺さぶる演奏。


上記はパイクの演奏動画。バックも美しい。パイクはレパートリーが広いピアニストです。しかし時期時期で演奏する作曲家や曲を限定していて、年齢やその時々に合わせ作品に集中して対峙するタイプの演奏家です。ここ数年はこのCDを引っさげゴイェスカスを日本で弾いていました。今後はモーツァルトのようです。数々のブログを拝見すると、アルベニスの来日公演はCD同様素晴らしかったようです。

パイクのアルベニスの演奏をまだ聴いたことがないようでしたら、ぜひ一度聴いてみてください。きっと、その演奏に満足され、所有欲をも満たしてくれると思います。

※当ページはシーサーブログ「クラシック 名曲・名盤求めて三千枚」からの引っ越しページです。徐々にこちらに軸足を変えていく予定です。 旧ページ:クラシック音楽 名曲・名盤CD求めて三千枚

 

 

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