1980年代、当時まだ中学生の私はWラジカセが欲しく朝の新聞配達を始めました。当時普通のラジカセでも5-6,000円、ダビングもできるWラジカセは10,000円位だったと思います。中学生での新聞配達1か月の給与は25,000位だったので、すぐに買えるはずでしたがなぜか買えなかった。結局兄のおさがりのテープレコーダー付きレコードプレーヤーで我慢し、中古のLPを買い漁っていた+甘い缶コーヒー(ポッカのGENT)を1日2本、また出来立てのコンビニで飲み食いしたりしていたからでしょう。

小学生・中学生時代は兄の小さいコンポやCDラジカセを使わせてもらいながら音楽に浸っていました。中学生時代はまだレコードとCDが共存している時代。管弦楽曲を好む中坊には、CDラジカセでは綺麗な音ではあるものの、スケール感不足で鬱々としていました。友人の中にはそれがレコードとCDが共存したミニコンポを親に買ってもらえる子もいて、遊びに行った時には指をくわえながら眺めていました。

ミニコンポ。1980年代に中学生・高校生を夢中にさせたオーディオセット。基本的にプリメインアンプ、テープレコーダー、ラジオを受信するチューナー、CDプレーヤー、3WAYのバカでかいスピーカー、オプションでレコードプレーヤーとグラフィックイコライザーがセットになった単品コンポよりかは少しだけ小さいセットコンポ。令和の時代で考えればこれほど場所をとり邪魔なものはないという代物です。
バカでかいオーディオセット、1970年代はリビングに置いて家族で団らんしながら音楽を愉しむいう家具的な趣のあるものでした。1980年代、家は広くなり子供も自分の部屋を持つのが当たり前になり、ウォークマンという画期的に自分だけで音楽を楽しむ時代に突入。ウォークマンまたはカーオーディオで自分独自のセレクションテープを作ることに命をささげる若者が増え、そのためレコード・CD・FMラジオから音源を取捨選択する機械としてミニコンポは爆発的に支持を得ていきました。

写真・キャッチコピーまで手が込んで作られている。
そんな若者を刺激するように、機器メーカーはガンガン広告費を投入しCM・カタログに人気絶頂のアイドルを投入していました。今では信じられない位に種類も豊富、南野陽子・REBECCA・中山美穂・富田靖子・後藤久美子・中森明菜という早々たるメンバーがカタログを飾る。電気量販店に行くと一角はミニコンポコーナーでカタログが多数置いてある。取りに行って眺めるだけでも半日は楽しめる空間でした。ただ金額は100,000~200,000円と中坊には手が届かないので、涎を垂らしながら帰るというのが日常。
「高校に受かったら何が欲しい。頑張って公立行ったら私学に行ったと思って差分いいもの買ってあげる。」「ミニコンポ」パブロフの犬のように反応したことを昨日のことのように覚えています。中3で塾に行きはじめ、講師に「やる気ある?帰る?」と数度詰められるところから始まりましたが、夏の終わりころには公立に行けるくらいまで復調、最終的に自分の能力よりちょい上の公立高校に合格でき、晴れてミニコンポをお迎えできる準備が整いました。
カセットテープにしろCMがとにかくかっこよかった。
当時愛知にはカトー無線という大型量販店よりかは品を絞って安く売る電気屋さんがありました。当時はホーエー家電とか中型規模の店舗が街に当たり前に残っていた時代です。カセットテープやビデオテープを買いに行くときには、胸躍るような気持ちで通っていたものです。カセットテープにしても、金がないので安いノーマルテープを手に取るのですが、上にあるハイポジの金色・メタルテープの重厚なデザインを見て「いつかは・・・」と憧れの眼差しで見てしまうものがたくさんありました。買ったところでその十分な性能を生かす機材がうちにはない。いつも諦めて帰る。
が、ミニコンポが届けば最低限の資格も手に入る。親と一緒に買いに行きましたが、さすがに「これがいい」というのにも勇気がいりました。時代はバブル景気に突入しており、作る方も売る方も買う方もイケイケドンドンな時代。これだけの大きなものは持って帰ることはできず、1週間後に到着。今は自分で全部できますが、当時は意味不明で兄のおさがりの自分の部屋の準備された場所に業者さんがセッティングしていきました。電源を押すときの胸のときめき。初恋の人に公衆電話から電話した時と同じくらいのときめき。電源ONのときめきは失敗が想定されない分、幸せ感が増す。

思えばこのスイッチオンがオーディオ熱に火が入った瞬間だったと思います。FM雑誌に掲載されているオーディオレビューの意味が何となく分かるようになる、そして大人になったら単品コンポで自分の音を作って愉しむんだと。その大人になった時にはそんなオーディオメーカーが壊滅的になってしまうとは知らず。今思えば胸がときめく幸せな時間でした。今はスマホとDAPとコンパクトサイズのスピーカーさえあれば十分いい音で聴きたい音楽が手に入る。幸せなようで何か物足りない。そんなことをROXYを思い出すたびに感じてしまう今日この頃でした。
※当ページはシーサーブログ「クラシック 名曲・名盤求めて三千枚」からの引っ越しページです。徐々にこちらに軸足を変えていく予定です。 旧ページ:クラシック音楽 名曲・名盤CD求めて三千枚
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