今年のGWはCDとオーディオ機器の断捨離を実行。小型スピーカーを外したことにより、ラックの下の方に移動したことで、なかなか手に取らなくなっていたアナログプレーヤーが上段に戻り、再び手に取る機会が増えました。久しぶりにモノラルレコードを聴こうと手にしたのが表題の1枚。

指揮者 アナトゥール・フィストラーリ(1907-1995)は、モノラルからステレオ移行期に活躍したバレエ音楽の名人。逆にバレエ音楽の指揮以外ではまるで評価されていないという不思議な指揮者。振り返ってみると昔はリチャード・ボニング、ランチベリーなどバレエ音楽の録音となると使われる指揮者がよくいました。バレエ音楽が交響曲・管弦楽曲録音より下として見られていた、また一流指揮者が抜粋は別としてレパートリーとして採用していなかったことも要因の一つでしょう。
フィストラーリは、3種のチャイコフスキー「白鳥の湖」と一部の協奏曲録音の伴奏指揮者として録音を残しているだけでかろうじて後世に名を残している稀有な存在。特に名盤と名高いのはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と残した1962年の抜粋録音。13曲の抜粋ながら優れた録音とシンフォニックな演奏が素晴らしい。タワーレコードによってSACD化もされて非常に素晴らしい復刻で聴くことが今でもできる。しかしながら、私としてはLPレコードで聴いてきたロンドン交響楽団とのほぼ録音の方が生気に溢れており、未だに手に取ることが多い。但し、私が聴いているのは抜粋版で1枚物のLPです。

チャイコフスキー バレエ音楽「白鳥の湖」抜粋
独奏ヴァイオリン:アルフレード・カンポーリ
指揮:アナトゥール・フィストラーリ
ロンドン交響楽団
1952年録音
※元々も一部カットのあるほぼ全曲盤
AMAZON ⇒ フィストラーリ 白鳥の湖
私の持っているLPに収録されているのは
A:
1)Introduction(ModeratoAssai):Scène(AllegroGiusto)(No.1)
2)Valse(No.2)
3)PasDeTrois(AllegroModerato(No.4d)
4)PasD’action(No.6)
5)Scène(Moderato)(No.10)
6)Valse(No.13a)
7)Moderato(No.13b)
8)AllegroModerato(No.13d)
B:
1)Andante(No.13e)
2)AllegroGiusto(No.15)
3)ScèneEtValse(No.17)
4)DanseHongroise(No.20)
5)DanseEspagnole(No.21)
6)Mazurka(No.23)
7)Moderato(No.27)
8)ScèneFinale(No.29)
の16曲。
フィストラーリ/ロンドン交響楽団による《白鳥の湖》の魅力は、バレエの呼吸を知り尽くした指揮とLSOの精妙なアンサンブル+明るくローカル色のある音色、そして1952年デッカ録音の鮮烈な音像が三位一体となった舞台の躍動をそのまま封じ込めたような臨場感にあります。モノラルカートリッジで聴くと、ほぼ雑音も皆無で下手なステレオ録音よりもリアルな音像で愉しめます。伸びやかな弦楽器の音色は未だに色褪せない。
フィストラーリは、若い頃からバレエ団で腕を磨き、バレエ音楽の呼吸・重心・ステップの感覚を熟知した指揮者。その経験がこの録音でも存分に発揮され、テンポは自然で流れがよく、舞台上の動きを想像させるしなやかさがあります。軽やかでありながら決して急ぎすぎない踊りやすいテンポ設定が際立ちます。
1952年の録音では、名プロデューサーのジョン・カルショーの判断で、LSOのコンサートマスターに代わりアルフレード・カンポーリがソロを担当。この決断が功を奏し、白鳥の湖の抒情性を象徴するヴァイオリン・ソロが極めて美しく、透明感と気品を兼ね備えた音色で作品を格上げしています。B面頭のアンダンテの素晴らしさ。LSO全体のアンサンブルも端正で、木管の柔らかい歌い回し、金管の引き締まったアクセント、弦の厚みのあるレガートが、バレエ音楽としての色彩を豊かに描き出しています。
この録音は1952年1月、キングズウェイ・ホールでのデッカ録音。エンジニアは名匠ケネス・ウィルキンソン。その結果、空間の自然な響き、オーケストラの奥行き、ソロ楽器の立ち上がりの鮮明さが際立ち、70年以上前の録音とは思えないほどの鮮度を保っています。 特に弦楽の広がりと木管の柔らかい質感は、これぞデッカ・サウンドと呼びたくなるほどの完成度です。
これらの相乗効果により、舞台の空気がそのまま聴こえる稀有な「白鳥の湖」となっています。優秀録音のACOとの録音、全曲録音のオランダ放送フィルとの録音の方が評価されてますが、ロンドン録音はモノラルながら洗練された表現とどこか風情のある音色・録音でもっと評価されるべきだと思います。
こちらはエソテリックの復刻したACO盤。高い。
AMAZON → フィストラーリ 白鳥の湖(SACD)

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